子宮内膜擦過細胞診において, 腺細胞と間質細胞を鑑別するために, KeratinとVimentinそれぞれのモノクローナル抗体であるKL-1, V9を用いて免疫組織染色および免疫細胞染色を行い, 検討した.
1) 免疫組織染色: 正常子宮内膜22例, 子宮内膜増殖症5例, 子宮内膜腺癌10例において, KL-1染色は正常子宮内膜腺細胞ないし増殖症腺細胞, 腺癌細胞においては100%(37/37) の症例に陽性であったが, 間質細胞では1例も染まらなかった.V9染色は内膜腺細胞ないし増殖症腺細胞, 腺癌細胞においては70.3%(26/37) の症例で, 間質細胞では100%(37/37) の症例で陽性を呈した.
2) 免疫細胞染色: 正常子宮内膜11例, 子宮内膜増殖症1例, 子宮内膜腺癌4例の子宮内膜擦過細胞診において, KL-1染色は腺細胞, 増殖症腺細胞, 腺癌細胞に陽性, 間質細胞に陰性であった.
以上の結果より, 正常子宮内膜腺細胞ないし増殖症腺細胞, 腺癌細胞と, 間質細胞の鑑別にKL-1染色が有用で, 今後, 鑑別された細胞をパパニコロー染色で見直すことにより, 子宮内膜細胞診断の精度の向上に役立つと考えた.
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