米ぬか処理によるヒメタイヌビエ (
Echinochloa crus-galli (L.) Beauv. var.
formosensis Ohwi) に対する生育制御作用について, ほ場, ワグネルポット (屋外設置) ならびにビーカー (人工気象器内設置) において, 粉状 (以下,「粉剤」と称す) およびペレット状 (以下,「ペレット剤」と称す) の剤型間で比較検討した。また, 両剤型の処理後の水中における理化学環境の変動を調べ, ヒメタイヌビエの生育に対する作用との関連性について検討した。
米ぬか粉剤およびペレット剤処理区におけるヒメタイヌビエの発芽数および茎葉新鮮重は, ほ場およびワグネルポットならびにビーカー試験のいずれにおいても顕著に減少した。米ぬか処理によりヒメタイヌビエのメソコチルの異常伸長が多数観察された。また, 米ぬかペレット剤の処理区は, 粉剤処理区と同様に, ほ場やワグネルポット試験のいずれにおいても水中の還元化および溶存酸素量の低下が認められた。pHと電気伝導度は, ヒメタイヌビエの生育に対して影響をおよぼさない程度の変動であった。これらの結果から, ヒメタイヌビエの生育に対し米ぬかペレット剤は粉剤と同様な抑制作用を示すことが明らかとなった。また, ヒメタイヌビエに対する生育抑制作用は, 酸化還元電位と溶存酸素量の低下を主因として発現するものと推定された。
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