香川大学農学部,
丸亀駅
前, 公渕森林公園に植栽されているユリノキを対象に光合成・蒸散速度の測定を行い, あわせて根系分布と土壌条件について調査を行った.
葉の大きさは新葉展開後, 約20日間で成長を完了したが, 葉緑素の成熟には約1ケ月間を要した. 飽和光合成速度 (光飽和段階の光合成速度) は葉緑素の成熟に伴って増加することが認められ, 香大調査木および公渕調査木の成熟葉は10μmolCO
2/m
2/s以上の値を示したが, 夏季の乾燥時には大きな低下を示した. 水利用効率は春から夏に向かって小さくなり, 夏から秋に向かって再び木きくなる傾向が認められ, 夏季の乾燥が光合成活動に大きく影響することが推察された. 両調査木とも土壌条件に制約されて根系分布が浅く, 無降雨による土壌乾燥の影響を受け易い条件にあったことが認められた.
丸亀調査木の光合成速度は他の2調査木に比べて低く不安定であった. この原因として, 丸亀調査木が地下駐車場の上の人工地盤に植栽されたものであり, また, 周囲が全面的に舗装されているために, 地下水の供給および降雨の土壌中への浸透があまり期待できないことに加えて灌水が不十分であったことが指摘される。
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