「 障 害 者 虐 待 の 防 止 , 障 害 者 の 養 護 者 に 対 す る 支 援 等 に 関 す る 法 律 」 ( 以 下 , 「 障
害者虐待防止法」とする)は施行後約 2 年 半 が 経過 し ,障害者福祉施設従事者等(以下 ,施設
従
事
者 等 )に よ る 障 害 者虐 待 の 相 談・通 報 ,認 定件 数 も 増 え ,虐待認定後,施設や事業所等で
虐待防止対策を積極的に行っている事例も見られるようになった .一 方 ,新聞等のマスコミ報
道では , 施 設 従
事
者 等 の虐 待
事
件 に 関 し て 継 続 的に 取 り 上 げ ら れ て い る .
そ こ で 今年度は ,施 設 従事 者 等 の 虐 待 が 認 定 さ れた
事
例( 認 定 さ れ て い ない が 新 聞 等 の 報 道
されたものを含む)の分析から , 当 該 施 設 ・
事
業 所 な ら び に そ の 施 設 等 を 運 営 す る 法 人 組 織 ,
さらに市町村や都道府県等の運営管理上の役割を整理するとともに ,各 プロ セ ス に お け る 課 題
を考察することを目的に研究を行 っ た .その結果,プロセス毎の重要なポイントを以下のよう
に考察した .① 予 防 プ ロセ ス に お い て ,職 員 研 修や 日 々 の 業 務・支 援 の 中 で ,自らが ,あ るい
は施設等においていつでも虐待(それが疑われる事案)は起きる可能性があることの認識と ,
障害者の権利 擁 護 の 視 点か ら 日 々 の 支 援 を 見 直 す姿 勢 が も っ と も 重 要 で ある ,②介入プロセス
において ,
事
実 確 認 調 査を 行 う 地 方 自 治 体 と 施 設等 は
事
案 の 重 大 性 を 勘 案し( 必 要 に 応 じ て 警
察等と連携),恣 意 的 にな ら ず 適 切 か つ 早 急 に 事実 確 認 を 行 い ,素 早 く 適切 な
事
後 対 応 に 結 び
つけることを心がけることが重要である .ま た ,③事後対応のプロセスは,基本的には予防プ
ロセスと同様である .しか し ,発 生 し た 虐 待(それ が 疑 わ れ る
事
案 )の 事例 を 元 に ,より具体
的に施設等内部の体制整備や職員研修の見直し ,その他運営管理全般 ,さら に 施 設 等 の 外 部 の
機関や人材との協力・役割 分 担 が 重 要 と な る .そし て ,質の高い支援を提供し続ける明快な試
みを打ち出す必要がある.
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