専門的な判断が求められる裁判官は、法的判断の前提として,正確な
事実認定
が必要である。そのためには、高度な判断補助を行う情報技術の利活用が不可欠となる。本研究では、正確な
事実認定
を行うために、家庭で起きた児童虐待事案をユースケースとし、証拠推論を用いた
事実認定
過程支援システムの構想を述べる。本研究では、自治体から使用許可を得て産総研が構築した児童虐待対応におけるベイジアンネットワークの学習済みモデルを用い、
事実認定
に必要な項目をダミー変数化する。検察官が作成した調書において
事実認定
に必要な自然言語情報をベイジアンネットワークの単語ノードにエビデンスとして与えることで、
事実認定
に必要な確率推論を行える仕組みを設計し構築する。本研究のシステムが完成すると、これまでの検察から提出された証拠を裁判官が事後確認して
事実認定
してきた過程において、より重要な証拠をリアルタイムに推論し、裁判官から正確な
事実認定
のために検察にさらなる証拠提出を提案・依頼できるようになるなど、不確実性が高い事件でもデータに基づいた正確な
事実認定
を支援することができるようになると期待される。
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