新しい半合成セファロスポリン剤であるCefotaxime (CTX, HR756) を抗生物質を必要としている新生児に投与し, その安全性および有効性を検討した。
血中半減期では, 成熟児, 未熟児とも日齢が進むにつれ短縮するが, 前者に比べ後者の方が個体差もあるが延長していた。また20mg/kgおよび10mg/kgを静注した場合, 両者間にdoseresponseが認められた。
尿中排泄では, 尿量と尿中回収率に明らかな相関が認められた。
成熟児61例, 未熟児19例の80例から得られた臨床成績は92.5%の有効率であった。主な疾患別有効率は髄膜炎19例で100%, 敗血症11例で81.8%, 呼吸器感染症25例で88.0%尿路感染症5例で100%, SSS症候群3例で100%, 蜂窩織炎4例で100%等であった。投与方法は主に静注法であり, 投与量は1回20mg/kg, 1日2-4回が主で, 髄膜炎などの重症感染症例では1回50 mg/kg, 1日3-4回で投与された。
細菌学的効果は, 78.6%の消失率であった。特に髄膜炎より分離された6株のGroup B
Streptococcusは全株消失し, また6例の複数菌感染例でも5例に起炎菌の消失がみられた。
他剤が無効であった22例にCefotaximeを投与し, 20例が有効例であった。
副作用は下痢, 発疹, GOT, GPT, LDHの上昇および白血球数の減少が少数例にみられたが, 特に問題となることはなかった。
以上の安全性および有効性の検討結果から, Cefotaximeの有用性が立証された。
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