The Japanese Journal of Antibiotics
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肺炎を主とする小児感染症に対するCefbtaximeの治験成績
土田 晃平元 東吉岡 一井関 憲一滝本 昌俊向井 直樹早苗 信隆清水 重男丸山 静男田崎 卓見原口 利恭高橋 庸二楠 祐一
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1985 年 38 巻 1 号 p. 107-113

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抄録

小児の感染症には肺炎など起因病原体の同定が難しい疾患や, 化膿性髄膜炎のように, 起因菌同定の結果が判明する前に抗生物質の投与を開始しなければならない疾患が少なくない。起因病原体が判らないままに治療退院する場合も多いものである。このように細菌学的結果が不明のままに治療退院する症例が多いと言うのが第一線の臨床にありがちな状況であろうと思われる。
Cefotaxime (CTX) はEscherichia coli, Klebsiella, Proteus, Enterobacter, Serratiaなどグラム陰性の腸内細菌群に対して強い抗菌力を持つており, 又, 他の菌種特に小児の細菌感染症の起因菌として頻度の高いA群及びB群の溶連菌, 肺炎球菌, 髄膜炎菌, インフルエンザ菌に対しても強い作用を持つことが知られている1)。将来小児の感染症治療の第1選択薬剤として使用される場合も少なくないと思われる。
今回の治験はCTX (セフォタックス®) を細菌学的な検索の結果を待たず第1選択の薬剤として使用した場合の効果及び副作用がどのようなものかを知る目的で行われた。
今回対象とした症例117例のうち除外例26症例を除いた約2/3は呼吸器感染症であつたが, これら感染症に対するCTX第1選択使用後の有効率は76.9%であつた。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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