The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefuzonamの髄液移行性についての検討
安本 幸正門田 静明熊巳 一夫宮嶋 雅一辻 理中野 英樹松村 耕三
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1993 年 46 巻 1 号 p. 36-43

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抄録

脳神経外科疾患患者20例におけるCefuzonam (CZON) の髄液移行について報告する。更に, 髄膜反応の有無, 脳損傷の程度がCZONの髄液移行にどのように関与するか検討を加えた。CZON2gをOne shotで静脈内投与し, 投与前, 1, 2, 4, 6時間後の血清中及び髄液中濃度を測定した。血清中濃度は1時間で60.4±31.3 (Mean±S. D.) μg/mlであったが, その後急速に減少し. 6時間では2.1±2.3μg/mlであった。一方, 髄液中濃度は緩徐に上昇し, ピークは4時間値の0.319±0.313μg/mlで, 6時間においても0.273±0.249μg/mlであり, 吸収も遅延していた。CZONの髄液への移行は4時間で血清中濃度の5.6%であった。髄膜反応陽性群の髄液中濃度のピークは2時間値の0.465±0.364μg/ml, 陰性群では4時間値の0.249±0.223μg/mlと平均髄液中濃度は陽性群の方が約2倍高く, 髄膜反応が有る方がCZONの髄液移行が良い傾向があった。髄液中濃度を脳損傷の程度で分類すると, 軽度ではピークは4時間で0.231±0.133μg/ml, 中等度は4時間で0.270±0.232μg/ml, 重度は2時間で0.680±0.467μg/mlであり, 重度脳損傷の症例においてCZONの髄液移行が良好となる傾向があった。CZON髄液濃度はEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Haemophilus influenzae, Streptococcsu pneumoniae等に対するMIC (Minimum inhibitory concentration) より高く, これらを起炎菌とする髄膜炎や脳神経外科手術後感染に対し十分にCZONが髄液中に移行していることが推察される。

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