ペチュニア品種の片親であるPetunia axillarisには, 花筒が短く, 花冠が大きく, 花冠裂片が円頭ないしは切形で, 2強雄ずい(2長雄ずい+2中雄ずい+1短雄ずい)をもつ
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axillaris(タイプ地 : ウルグアイ・モンテヴィデオ)と, 花筒が長く, 花冠が小さく, 花冠裂片が鋭形ないしは微凸形で, 4強雄ずい(4長雄ずい+1短雄ずい)をもつ
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parodii(タイプ地 : アルゼンチン・フォルモーサ州)が知られている。ところが, 自生地を探査し, 20標本館所蔵の標本を調べた結果, アルゼンチン北西部の山岳地帯からボリヴィアにかけて,
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parodiiに似て花筒が長い反面, 雄ずい形態が
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axillarisに類似する新
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が認識できたので, それを
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subandinaとして記載した。分布域はアンデス山脈そのものではなく, その東にあるサブアンデス山脈(sierras subandinas)とその近傍であった。Wijsman(1982)は, 欧州の4大標本館(BM, K, L, U)所蔵のP.axillarisを調べたが, そこには
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parodiiの標本が1点しかなかったこともあり,
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subandinaを
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parodiiと混同して,
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axillarisと
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parodiiは, 花筒の長さにしか違いがないと報告していた。しかし, 筆者の調べた南米の標本館には,
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parodiiの標本が豊富にあり, これら3
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の分布域を明確にし, 互いに住み分けている実態を把握することができた。
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subandinaを認識することで, P.axillarisの
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に関する誤解が解けたものと思われる。
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