2019 年 56 巻 5 号 p. 376-378
抗酸菌は,結核菌,らい菌,非結核性抗酸菌(NTM)の3種類に分類される.NTMは環境菌であり,ヒトは環境より暴露されたNTMに感染し発症するとされるが,詳細は不明である.本邦における肺NTM症の罹患率は,結核のそれを逆転して,人口10万人あたり約15人であった.95%以上の症例が60歳以上であった.M. abscessusは日本で急増しているが,3種の亜種があり,DDH法でもTOF-MS法でも亜種鑑別ができない.3亜種は臨床経過に相違があるので亜種鑑別は重要である.NTMはヒト―ヒト感染しないとされてきたが,欧米のCF患者でヒト―ヒト感染を疑うような症例が出てきた.