本稿は, 京都府相楽郡の保健婦が, 自らの地域に住む介護者の語りに耳を傾け, その語りを地域住民と共有しようとした実践研究の報告である。(1) まず, 保健婦たちは, 高齢者を在宅介護している13名の介護者に, 介護に携わりだしてからのストーリーを語ってもらった。それを基にして, 保健婦たちは, 介護者が直面する問題点と, それに対する対応を分析, 整理した。(2) 次に, 保健婦たちは, 研究の成果を地域住民と共有すべく, 住民たちとの学習講座を通じて, 啓発活動を行なった。本稿の最後では, 高齢社会における住民による地域医療・地域介護を, 専門的立場からサポートすべき立場にある保健婦のあり方について論じた。
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