当教室開設以来14年間 (1977年~1990年) に151例の基底細胞癌 (BCC) を経験し, このうち腫瘍細胞の残存を病理組織学的に確認したものが13例あった。この13症例について臨床病理学的検討を行った。
1) 70歳以上が8例を占めた。
2) 発生部位は顔面・頭部11例 (うち顔面9例) , 陰嚢, 大腿が各1例であった。
3) 腫瘍最大径は大多数 (10例) が10mm以下と小型であった。
4) 組織病型では, Solid type 5例, Sclerosing type 5例, Morphea like type 2例, Basosquamous cell cancer (BSCC) type 1例であった。
5) 再手術組織像で部分的に棚状配列が破綻し浸潤性増殖を示すものが6例あった。
6) 初回手術を行った手術医は, 当科2例, 他皮膚科医1例, 他科医10例であり, 他科医の場合, BCCについて正しい認識がないまま安易に切除され, 術後の経過追跡も不十分なものが多かった。
7) 基底細胞癌手術に際して, 黒色腫瘤周縁の軽微な常色拘縮病変などを取り残さない細心の注意が大切である。
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