条件文に関する推論が一般的に困難であることは,4枚カード問題に関する研究などで数多く報告されている。また,統計的
仮説検定
は,複雑な数理的論理体系であり,心理学系の学生にとって理解が困難である。その論理体系には,命題論理学における条件文が含まれる。本研究は,条件文が理解や推論が困難であるという特性をもつこと,その条件文と同じ論理構造を統計学的
仮説検定
は多く含むことに着目する。条件文についての理解あるいは推論が促進されることと,統計的
仮説検定
全体についての理解の間の関連性について実験的に検討する。実験は,統計的
仮説検定
に関わる条件文の形式の知識を題材として,4枚カード問題と同じ形式の推論課題を行うことによってその知識に関わる推論を誘導する推論誘導要因と,その知識の根拠を明示するか否かの根拠明示要因,そして統制条件によって構成された。統計的
仮説検定
の理解については,単一的な知識とそれらの知識の論理的関係の把握の2つの側面から検討された。
抄録全体を表示