抄紙工程で発生するスケールがもたらす障害は紙の欠点発生や生産性に直接関わってくる。抄造工程で発生するスケールはカルシウム, 珪素, アルミ等が主体となったものが一般的であるが, 原料パルプや抄造緩の種類或いは抄造条件によっては硫酸バリウムのスケールが発生し問題となることがある。硫酸バリウムのスケールはアルカリ洗浄でも酸洗浄でも除去は難しく, 現状における対応策としては硫酸バリウムの析出を抑えることが最善策と言える。この現状を鑑み, SO
42-の主な供給源である硫酸アルミと硫酸について, バリウムスケールの形成に相違があるか否かを探る試験を実施した。
その結果, 硫酸アルミ添加系, 硫酸添加系共に同量レベルの硫酸バリウムの析出はあるものの, 金属表面に形成される硫酸バリウムのスケール量としては, 硫酸アルミ添加系よりも硫酸添加系の方が多く, 硫酸バリウムスケールの形成低減を望む観点からは, 硫酸の使用は望ましくないと判断できる知見が得られた。
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