塩野義製薬研究所で合成されたエステル型経口セフェム剤S-1108の体内抗菌活性体であるS-1006の
in vitro抗菌力をcefteram (CFTM), cefotiam (CTM), cofaclor (CCL) およびamoxicillin (AMPC) などと比較した。
S-1006は広範囲の細菌にバランスのとれた強い抗菌スペクトルを示し, 38菌種, 1,464株の臨床分離株に対し次のような抗菌力を示した。
即ち, 広範囲のグラム陽性菌 [メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) など耐性ブドウ球菌, 腸球菌および芽胞性桿菌を除く] に有効で, 特に連鎖球菌に強い抗菌力を示した。また,
Escherichia coli, Klebsiella属,
Proteus属,
Citrobacter属.
Haemophilus influenzaeおよび
Moraxella (
Branhamella)
catarrhalisなどのグラム陰性菌に非常に強い抗菌力を示した。また, S-1006はofloxacin耐性株に対しても強い抗菌力を示した。
さらに, 多くの抗菌剤が無効な
Pseudomonas cepaciaや
Alcaligenes faecalisにも比較的優れた抗菌力を示し, 嫌気性菌の
Peptostreptococcus属や一部の
Bacteroides fragilisにも優れた抗菌力を示したが,
Clostridium difficileには抗菌力は弱いものと考えられた。
S-1006の抗菌力を対照薬と比べると, CFTMによく似ておりCTMに比べて連鎖球菌,
Proteus属,
H.influenzaeおよび
M,(B.) catarrhalisに対する抗菌力が優れており, CCLに比べて腸球菌を除く細菌全般に, amoxicillinに比べてグラム陰性菌全般に, それぞれ明らかに優れた抗菌力を示した。
S-1006の殺菌力は
Streptococcus pneumoniaeに対してはCTMやCCLより明らかに強くCFTM並みで,
E.coliに対してはCCLより強く, CFTMと同等でCTMよりやや弱かった。
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