小論は,ネオコン第一世代とよばれる人々が醸成してきた一連の政策や
思想
体系について,以下の論点を基に考察することを目的とする。
はじめに,“ネオコンサーヴァティヴ”(neo-conservative)という言葉の由来をふり返り,彼らの
思想がアメリカの思想
的系譜のなかでどう位置づけられるのかという問題を確認するが,ここでは,とりわけ,アメリ力の伝統的
保守派との思想
的相違に着目しながら議論を進めたい。
次に,ネオコンの代表的論客であるアーヴィング・クリストルなどの整理に従いつつ,「信念」(persuasion)としてのネオコンの定義を再確認し,その歴史的歩みについてふれる。なお,彼らの歴史を追っていく上で重要な鍵となるのは,左派的なニューヨーク知識人の集団として歩み始めた彼らが,どのような時代背景や事件をきっかけに,
保守
的立場へと転向したかという点である。
続いて,彼らが展開した一連の国内政策の要点を確認し,その現代的意義について論じる。その過程で,彼らの政策を形づくる
思想
的背景にも踏み込んでいきたい。
最後に,ネオコン第一世代がアメリカの外交というものにたいし,どう向き合ってきたかという問題を考察する。その際,第二世代のネオコンが進める外交政策との共通点を探っていくことで,世代に関係なく,ネオコンを貫く
思想
や政策的指針の正体を最終的に明らかにしていきたい。
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