2018 年 56 巻 2 号 p. 6-17
本研究は,東京府女子師範学校附属学校園の遊戯的学習の実践に着目し,大正自由教育における遊戯的学習の位置づけと「第一部(幼稚園及び尋常一年)」の実践的展開の特徴を明らかにした。その結果,遊戯的学習の実践における第一部は,幼稚園も尋常一年も同様のテーマを置き,遊びや生活そのものが教材となり,子ども自身の興味関心から一人一人の成長を支えていく教育であった。遊戯と学習を一元的に捉えながら小学校生活全体を構想した遊戯的学習の第一部は,その後に続く基礎学習の時代,自学自習の時代の重要な基盤として位置づけられており,小学校教育の革新によって幼児期の教育との接続関係も変わりうることが示唆された。