症例1: 77歳, 女性.右乳房痛を主訴に来院.胸部X線写真上異常はなかったが, 胸部CTでは, 右S8に淡い1cm大の結節がみられた.1カ月後, 腫瘤が増大したため生検を行い, 組織学的に腺癌と判明した.症例2: 59歳, 女性.左上肢外傷にて手術中, 喘息発作を発症.胸部X線写真で異常陰影は認められなかったが, CTでは左舌区に6mm大の結節が見られた.2カ月毎に胸部Thin。SliceCTにて経過観察していたところ, 腫瘤径増大と, 濃度上昇が軽度ながら認められたため, 6カ月後肺癌を疑い胸腔鏡下生検を施行した.術中迅速診断で, 腺癌と判明したため舌区切除を行った.胸部CTで発見された, 良悪判定困難な小結節陰影に対する経過観察は, 充実性腫瘤と含気性腫瘤でやや異なり, 前者では発見後3カ月間は1カ月毎, その後は2カ月毎の, 後者は当初より2カ月毎のThin-SliceCT撮影により行う.何れの場合も, 病巣陰影の微細な変化を見過ごすことなく発見し, 胸腔鏡生検を行うことが質的診断, 治療のために重要である.
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