日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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症例報告
呼吸リハビリテーションを導入した肺胞低換気症候群の一例
増本 枝里子山下 剛司田中 博之
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2016 年 26 巻 2 号 p. 336-340

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抄録

82歳女性.第一腰椎圧迫骨折受傷後,入院した.その後,タール便を認め他院へ転院した.転院先で胃潰瘍止血後,著明な低酸素血症,CO2ナルコーシスを呈した.肺胞低換気の存在が示唆され,非侵襲的陽圧換気を実施した.第38病日に当院へ転院(再入院)し,前医で実施されなかった呼吸リハビリテーションを開始した.第42病日から車椅子乗車,第48病日から歩行が可能となり,第56病日頃から呼吸苦が減じて酸素投与が不要となり,日常生活動作も自立したため,第80病日に自宅へ退院となった.本症例の呼吸リハビリテーションは肺活量増加を主眼にすべきと考え,セミファーラー位を維持して安楽体位に置くこと(リラクゼーション)から開始したが,自己排痰が得られるようになってから呼吸リハビリテーションが進んだ印象を持った.肺活量を増すことと気道の清浄化の2つが補完しあって,より良い効果が得られたと考えられた.

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© 2016 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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