目的 本研究では,全国の市区町村の環境政策に対する市民参加の対応状況を,関連計画へのパブリック•コメント実施と環境関連問題を審議する会議への市民
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の選任を指標として,人口規模に応じた実態を把握すること,を目的として調査を実施した。
方法 全国の市区町村(1,816か所)と東京特別区から以下の手順で抽出した325自治体を調査対象とした。人口規模20万人未満の自治体については,1 万人未満,1 万人以上 5 万人未満,5 万人以上10万人未満,10万人以上20万人未満に区分し,それぞれについて50自治体ずつ多段階無作為抽出を行った。20万人以上については,全数調査を行った。調査項目は,環境とまちづくりに関連する,環境基本法に基づく環境基本計画,景観法に基づく景観計画,都市計画法に基づく都市計画を取り上げ,それぞれについて,パブリック•コメントの実施の状況,審議会設置への
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の選任状況について情報を得た。
結果 269か所(回収率82.8%)から回答があった。人口規模とパブリック•コメントの実施状況は,環境基本計画,都市計画で人口規模が大きくなるほど実施率が上昇する傾向が認められた(
P=0.04, 0.001)。人口規模と市民
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の選任率は,環境審議会,景観審議会,都市計画審議会で人口規模が大きくなるほど選任率が上昇する傾向が認められた(
P=0.001, 0.045, <0.001)。また,各計画,審議会によって,パブリック•コメントの実施状況や市民
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の選任状況,委員の構成が異なっていた。
結論 自治体における環境政策への市民参加は,人口規模に関連していることや,同じ人口規模の自治体であっても,それぞれの計画,審議会によって,市民参加の程度が異なることが明らかとなった。
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