45 歳,男性。初診 1 カ月ほど前より味覚障害,食欲低下を認めていた。頭部の脱毛が出現し,徐々に脱毛範囲が拡大するため,近医を受診し,当科紹介となった。初診時頭部のびまん性脱毛,爪甲の変形,手掌・手指に淡い褐色調の皮膚色素沈着,舌は軽度腫脹がみられ,味蕾が消失していた。また,味覚障害,食欲低下を認めていたため,上部・下部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃・十二指腸および大腸全域にかけて広範囲に発赤調の小ポリープが著明に多発していた。以上より Cronkhite-Canada 症候群(CCS)と診断した。消化器内科と併診し,内服ステロイド治療が開始(PSL 30 mg/日)となった。PSL と PPI(ラベプラゾール)内服を開始して 2 週間後には味覚が改善し食欲が増進した。数週遅れて爪甲の脱落,髭の再生,手掌の色素沈着の消失がみられた。ステロイドを漸減し内服終了し,2 カ月後の上部・下部消化管内視鏡検査では一部小隆起の残存部位あるものの改善を認めた。爪甲は全て生え変わり,脱毛などの症状の再燃なく経過している。CCS は世界的に希少な疾患であるが,本邦での報告例は比較的多く,びまん性脱毛,爪甲の変形,手掌や手指の皮膚色素沈着などの症状をみた場合には鑑別診断として念頭に置く必要がある。
【はじめに】一般に上腕骨小結節骨折は,4part fracture等の上腕骨近位端骨折や肩関節後方脱臼の際にみられ,単独骨折は稀であるとされている.我々は,単独での上腕骨小結節剥離骨折の1例を経験し,手術的に加療したので報告する.【症例】63歳女性.自転車走行中に転倒し左上腕部を受傷した.受傷翌日当院受診し,受傷後6日目に,全身麻酔下での骨接合術を行った.三角筋大胸筋アプローチにより進入し,上腕を外旋させ骨折部を展開した.内旋位で整復位良好となりCCSにワッシャーを用いて固定した.術後は4週間外旋15度までの制限とし,その後から制限なくROM訓練を開始した.術後4ヶ月で骨癒合は得られ,外旋は45度まで可能であった.【考察】上腕骨小結節骨折は比較的稀な骨折であり,受傷時の単純レントゲンのみでは見逃されやすく,陳旧例となったのちに診断されることもあり注意を要する.本症例ではCCSで十分な安定性が得られ,良好な成績が得られた.
【目的】大腿骨近位部骨折患者における胸部大動脈石灰化の分布を部位別に検討する.【方法】大腿骨近位部骨折で術前に胸部CTを撮影した50例においてaxial像で評価した.石灰化が1/3周以下が3スライス以上,もしくは1/3周以上が1スライス以上の症例を石灰化+と定義した.【結果】大腿骨近位部骨折患者において50人中16人(32%)の上行大動脈に石灰化を認め,50人中40人(80%)の下行大動脈に石灰化を認めた.上行大動脈では有意に石灰化の発生率が低かった.【考察】局在により動脈石灰化のetiologyが異なる可能性が考えられた.
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら