強塩基性陰イオン交換樹脂Amberlite IRA-900,および400をOH型,塩型で用いて,水溶液からのフェノール吸着につき実験した。
吸着平衡は,塩型ではFreundlich型の等温線が成り立った。OH型では,樹脂のイオン交換容量を越えた吸着量について同様の関係が成り立った。また,フェノールを吸着させた樹脂から水,メタノール水溶液を用いた脱離実験においては,塩型樹脂ではほとんどすべてのフェノールが,OH型樹脂では上述の交換容量を越えた分のみが容易に脱離された。
つぎに,かきまぜ槽を用いて吸着速度を求めると,フェノール濃度が小さい(約10mmol/l以下),ときは境膜拡散律速となり,内部構造の異なる両樹脂でも吸着速度は変わらない。濃度が約20m=mol/lを越すと粒内拡散律速に変わり,粒内拡散係数はIRA-900の方が400より明らかに大きい値をとった。フェノールの解離は常温の水溶液中ではきわめて小さく,溶液中から塩型樹脂には物理的に吸着されることによって除去された。OH型樹脂では,樹脂内の高いpHによってフェノールの解離が進みイオン交換に移行するが,交換容量を越えた分は物理的に吸着されていた。
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