2000 年 71 巻 9 号 p. 362-369
精密濾過膜を用いた豚舎汚水の活性汚泥処理施設における細菌叢の消長を年4回(2月,7月,8月および10月)調査した.その結果,最終的に得られた処理水において,好気性菌および嫌気性菌数はいずれの時期においても103個/ml以下となり,大腸菌群数はいずれの時期においても法令で定められた基準値(3,000個/ml)以下であった.代表的な糞由来の細菌であるStreptococcusおよびLactobacillusは嫌気,曝気処理により7月および10月に比較的多く計数されたが最終的に得られた処理水においてはいずれの時期も103個/ml程度以下となった.Bacillusは季節変動は認められなかったが,Clostridiumは8月の各処理段階で102個/ml以下となった.各処理過程における好気性菌を分離•同定した結果,いずれの時期においてもMoraxellaが比較的多く分離された.嫌気性菌は2月,7月においてClostridiumが多く分離されたが,8月および10月においてはCorynebacteriumが比較的多く分離された.