目的:被災した認知症高齢者の家族の発災から災害中長期における生活上の困難を明らかにする.
研究方法:平成28年熊本地震または平成30年7月豪雨による被災経験があり,被災前に認知症高齢者と在宅で生活をしていた5名の家族に半構造化面接を行い,Riessmanのテーマ分析を実施した.
結果:12のテーマから[認知症高齢者の介護,自身の健康維持,被災後の生活再建を並行して行う苦悩],[避難生活の中で我慢や遠慮をしつつ全てを一人で背負う理不尽さ]等の4つのコアテーマが得られた.認知症高齢者を優先せざるをえない介護,生活再建を全て一人で抱えることが家族の被災後の生活をより困難にした.
結論:認知症高齢者とその家族の関係職者は,平時より災害後の支援対策を講じると共にインフォーマル・フォーマルサポートの情報提供と活用を促すことで,家族の被災後の生活上の困難を軽減できる可能性がある.
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