1.本病の病徴は多種多様であるが,株枯れの発生状況はおよそ次の3型に大別できる。株全体が枯死し欠株となる場合(A型),枯死が最初の主幹のみでとどまる場合(B型)および主幹は次々と枯死するが,下部から芽ばえてきて欠株とならない場合(C型)の3型である。
2.被害組織上にはGuignardia sp.,Nectria sp.,Gryptospora sp.,Diaporthe sp.,Leptosphaeria sp.,Macrophoma sp.,Pestalotia SPP,,Patellaria sp.,およびPhomopsis sp.などが観察されたが,いずれもひん度はあまり高くなく,病徴,枯死程度などと菌の種類の間には一定の傾向はみられなかった。
3.摘採あとは病原菌の侵入門戸とはならないようであった。
4.網もち病葉付着部から枝条が褐変する割合は50%程度に達するが,直径5mm以上の枝が枯死することはきわめてまれであった。
5.株の頂部に始まる枝の枯死は,大部分,分枝点までで停止し,下部まで褐変が進展してゆくことはなく,欠株などの大きな被害となる場合は,感染初期において,地ぎわ部付近が侵害されているものと推察される。
6.茶園全体としてみた場合,本病による被害は年々かなり急激に増加するが,ある箇所を中心にしだいに蔓延してゆく傾向は認められなかった。
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