進化について確かな理解を有する者(進
化学者
)とそうではない者(大学生)との間の自然観・生命観・進化観の差異を, 調査結果に基づいて比較・考察した.その結果, 次の点について差異が示唆された.すなわち, 進
化学者
の方が大学生と比べて, 1)自然や生物を科学的に解明可能なものであると見なす傾向が強い, 2)自然の中における偶然の役割を重視する傾向が強い, 3)個体群的な思考をする傾向が強い, 4)自然やヒトを含む生物を進化・絶滅するもの見なす, 動的・可変的な自然観を有する傾向が強い, 5)人間中心的ではない自然観を有しているという傾向が強い, 6)進化は目で見ることも場合によっては可能であると見なしている傾向が強い. また, 7)大学生の方が進
化学者
と比べて, 自然や生物を感情的にあるいは過度に単純化して捉える傾向が強い, ということも示唆された.これらに加えて, 「進化論の受容測定尺度(MATE)」の各項目の結果は, 大学生の進化論の受容程度は進
化学者
に比較して低い, ということを示した.
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