高校のドップラー効果の指導では,変化する波長という概念を軸にしてなされるやり方が圧倒的多数である。しかし,日常生活で最もなじみ深い音波の場合に,波長の変化を直接実感する場面がそれほどあるとは思えない。教師が,水面波による代替実験などを行って,ドップラー効果における波長の変化を説くことは大切だとは思うが,生徒達が経験している肝心要の音波で直接それを確かめることは出来ないから,結局後は生徒達の想像力に期待するところとなり,結果的に定着率は半減する。そこで,筆者は,数年前から自主教材を作成し,波長概念を用いないドップラー効果の指導を試験的に行ってきた。本稿はその報告文である。
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