基礎医学教育は, 臨床医学を理解するための基礎教育としてだけでなく, 医学生に医学の学問体系を理解・体得させるためにも重要である. 平成15年度から順天堂大学医学部において基礎医学統合型カリキュラムが導入され, それまでの「-学, -ology」といった縦割りの講義から組織・臓器別の統合型講義に変わった. しかし, 実習については, 「-学」のままであり, 今後, 実習も含めて統合型カリキュラムになるのかどうか興味がもたれるところである. これからも, 順天堂らしい基礎系, 臨床系の講義・実習を通して, 国家試験をものともしない医学生, そして, 「仁」の心をもったよき医療者が育つことが期待される.
さらに平成22年度からは, 基礎医学研究に携わる医師育成のために, 基礎医学研究者養成奨学金制度が整えられた. この制度は, 基礎医学研究に興味をもつ医学生に奨学金を貸与し, 支援することを目的としている. しかし, 医学生が基礎医学に興味をもち, 将来的な進路として基礎医学を選択するかどうかについては現実的に難しいのも事実である. 今後, 基礎ゼミナールやその他, 基礎医学研究者を養成するためのカリキュラムを通して, 一人でも多くの医学生が基礎医学研究の道に進み, 日本の, そして世界の医学, 生命科学の将来を担うことが望まれる.
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