有意水準を固定して,3つの二項変量の等確率性検定を,正確法で行う場合を考える.まず,主な3つの検定統計量を用いて非条件付検定と,共通応答確率の
十分統計量
による条件付検定を行い,そのサイズについて調べる.検定統計量の条件付分布が,
十分統計量
の値を変化させるとき安定しているならば,非条件付検定のほうが検出力が高いことが観察される.しかし,検定統計量の条件付分布の離散性が消滅するにつれ条件付検定の振る舞いが非条件付検定のそれに追ってくる.この論文では,統計量の条件付累積分布をもとに構成される修正統計量を提案し,この統計量を用いた非条件付検定が,もとの統計量を用いた条件付検定よりも一様に検出力が高いことを示す.このことは,非条件付検定が実行可能な状況では,条件付検定を行うメリットがないことを示している.さらに,上記の修正統計量を少しだけ改良したものを提案し,その振る舞いの良さを数値例により実証する.
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