山野美容芸術短期大学は、美道五大原則(髪・顔・装い・精神美・健康美)を建学の精神としており、2年間を通して美容を追求し、「美しく生きる」力を身に付けることを目指した教育を行っている。習得した二年間の学びと社会との接点に「
卒業式
」は存在していると言っても過言ではない。本学においても入学式は、指定はしていないが、一般的な礼装、いわゆるオーソドックスなスーツで参加する学生が多い。
欧米と比較すると、日本における「
卒業式
」は、明治以降、儀式的要素を持つステージとしての役割を持っている。「涙」や「感動」、「別れ」のイメージがある「
卒業式
」であるが、これは世界でも珍しい日本特有の学校文化であると言われている。1893(明治26)年に、儀式唱歌が定められたが、共に歌うことで生じる一体感は、特に「
卒業式
」に最適な演出となっている。1)その中で「装い」は、一体感と儀式性をより色濃く、その時を華やかに彩り、強く記憶に残す一助となっている。
今回は「
卒業式
」というカテゴリーの中で、ファッションの流行との共通点も比較しながら、ヘアスタイルに時代的な変化がみられるかを調査した。その結果、本学の
卒業式
のヘアスタイルは、
卒業式
という制約の中でも、時代に合わせた変化を見ることができた。
卒業式
でのヘアスタイルの定点観測を継続することは、文化的理解と教育につながることが示唆された。
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