血液透析患者16名にanaerobic threshold (AT) を基準として定量化した運動強度で1日30分週5日以上の平地歩行による運動療法を8週間行った. 心肺運動負荷試験にて運動耐容能に対する効果を客観的に評価し, 同時にactivity of daily living (ADL), quality of life (QOL) への影響を調査した. また, 運動療法を効果的かつ安全に施行するための看護援助について検討した.
運動療法前後で運動耐容能は予測AT値を100%とした場合, 58.8±9.6%から70.6±12.8%に改善した. しかし全例で運動処方通り実施できたわけではなく, AT値の改善にも差があった. 運動療法によりATが10%以上改善した8例はADL, QOLの評価も上がったが, 改善しなかった6例と中断した2例はほとんど変化がなかった. 運動療法前と期間中の状況を比較すると, AT改善群は運動療法に対する動機づけはしっかりしており, 歩行時間・歩行日数ともに中止・非改善群より多く, 期間中も身体面の訴えは目立たなかった. それに対し途中中止およびAT非改善群は動機が不明確で, 期間中体調不良や血圧コントロール不良などの訴えが多く身体面に不安を持っていた.
以上より運動療法を行う際には, 動機づけを明確にする, 身体状況への不安をなくす, 運動処方を守るように指導する, などの看護援助が重要と考えられた. また, 運動療法は, 運動耐容能を改善し, QOLの向上にも寄与することが示唆された.
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