【目的】
反社会的行動
の症状を持つ発達障害の症例の特徴について検討する. 【方法】当院小児神経外来に受診した発達障害のうち, 平成21年10月から平成24年10月までに就学年齢以上であった110例を対象とした. DSM-Ⅳ-TRの素行障害の診断基準の症状が1項目以上あるものを
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群とし, その症状を持たない群と背景, 行動の特徴, 治療による症状改善の有無について比較した. 【結果】
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は38例にみられ, そのうち素行障害に該当するものは7例で全体の5.5%であった.
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の要因は, 注意欠陥/多動性障害, 虐待, 施設入所歴, 家族の精神・発達的問題, 不安定な家庭であり, 統計学的に有意であった. 投薬や環境改善の指導を行ったところ, 66%の症例で,
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について何らかの改善を認めた. 素行障害7例のうち4例が虐待により児童養護施設等に入所しており, 3例が社会性に強い困難さを抱えた広汎性発達障害で, 全例が治療的介入を行っても
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の改善はみられなかった. 【結語】発達障害児の
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には主診断が注意欠陥/多動性障害であることや虐待, 施設入所歴, 家族の精神・発達的問題, 不安定な家庭の要因が関与していた. 最も効果的な治療は, 保護者に対する子どもへの関わりの指導であった. 素行障害まで進行している症例は改善が極めて困難であり,
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がみられた場合は早期介入する必要がある.
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