本研究では静岡県富士市のバス路線を対象として,交通状況による遅延を考慮し円滑な乗換を保証するバス時刻表を設計する.路線バスは渋滞などの影響を受けやすく,遅延が発生しやすい.また,一度発生した遅延は交通網全体に広がり,大勢の利用者が遅延の影響を受けることがある.一つの路線だけを対象とする場合は,実態に合わせてバス停間の運行時間に余裕をもたせることで遅延を抑えることができる.しかし,実際の公共交通ネットワークでは,複数のバス路線や鉄道路線が複雑に結びついている.したがって,もう一つの重要な目標である電車とバスやバス同士の円滑な乗換を保証するためには,ネットワーク全体を考えた上で,どの箇所の発着時刻をどのように調整するべきかを決定する必要がある.また,バス停間の運行時間に余裕をもたせる場合には,乗客の移動時間が不必要に長くなるのを避けなければならない.本研究では富士市の現地調査とデータ分析の結果に基づき遅延シナリオを作成し,最適化手法を用いて各バスの発着時刻を決定する.
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