われわれは, 一般内科病棟で心因性嘔吐症例の治療を行ったが, その際, 以下の5点に気をつけた.1)診察を綿密に行う.2)心療内科医も消化器内科医と同様に扱われる.3)検査を主治医が行う(内視鏡検査, 注腸検査など).4)機能的疾患の説明を十分に患者と家族に行う.5)治療初期から心因を扱わず, 器質的疾患がないことが心因性疾患とは限らないと患者と家族に説明する.症例は嘔気, 嘔吐, 全身倦怠感を主訴とする18歳の男性で, 父親が心因性と考えていると思われた.しかし, われわれはあくまでも一般内科患者として扱った.あえて心因を扱わないことにより, 短期的な治療を行い得た.
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