2024 年 3 巻 1 号 p. 235-241
昨今,技能労働者の高齢化や労働志向の変化にともない現場の労働力は不足しており,線路内作業の効率化は国内の鉄道事業者にとって共通の喫緊の課題となっている.そこで,JR西日本では生産性向上と働き方改革の一環として,検査業務をセンサや機械による手法に置き換える「地上検査の車上化」に取り組んでいる.その手段の一つとして,MMS(Mobile Mapping System)技術の鉄道への適用を進め,2021年から在来線および新幹線の全線での計測を開始している.今回,2カ年の運用を通じて,社内の各系統において普及,活用が進んだことにより,鉄道分野におけるインフラメンテナンスのデジタル化に対し一定の成果が得られたことから,MMSの鉄道分野への適用および現場での利活用事例を紹介する.