蛔虫感染源としての耕作地土壌に就き, それに混在する蛔虫卵の季節的清長を知るため, 一年間に亘り, 月毎に, 前橋市郊外の一農家の畑で, 畑種別に蛔虫卵検出を試みた.
(1) 1標本 (土壌5g) 平均の蛔虫卵総数は, 多い順に10-1月, 3月, 6月の3季に高い値を示し, 仔虫期卵数は, 10-1月並びに6月の2季に高度に検出された.
(2) 蛔虫卵総数に対する同仔虫期卵数の比率は, 夏期6月に最高値 (69.5%), 冬期2月に最低値 (0%) を示し, 春秋の候はその中間的な値を示した.
(3) 土壌内蛔虫卵検出曲線の6月の山は, 果菜類畑 (主としてとまと畑) に虫卵数が多かつたことに由来し, 秋期から冬期にかけての山は, 葉菜類畑 (菠薐草畑, 自菜畑, 葱畑等) 及び根菜類畑 (午蒡葵畑等) の土壌からの虫卵検出度が高かつたためである.
(4) 耕作後の土中虫卵数の減少傾向は, 比較的明瞭であつたが, 施肥と土壌内虫卵数, とくに総卵数との相関々係は, 自然耕作地に於ては, 春先施肥後の虫卵数の如く, 必らずしも明瞭ではないが, 全般的にみて秋, 冬期の施肥後の虫卵数のように増加するところが多かつた.
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