日本語史の近代を,明治時代以降ととらえるとき,漢語爆発期(明治前期),漢語
淘汰期(明治中期~昭和前期),外来語増大期(昭和後期~平成期)の 3 期に分ける
ことができる。漢語爆発期では,西洋語彙の翻訳借用によって多くの漢語が登場し
た。漢語淘汰期では,前の期に登場した漢語の多くが淘汰され,一部の漢語は定着
するが,定着する漢語は既存の和語との間で語彙体系を調整し,安定していく。外
来語増大期は,西洋語彙が音訳によって受容され,定着する外来語は既存の和語・
漢語との間でやはり語彙体系に調整を生じ安定していくが,スタイル差によって使
い分けられるようになるものもある。
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