大規模システムをめぐる事故への法的対応を論じるにあたっては, 原因究明に基づく適切な対策の実施と法的責任追及による制裁のバランスをどのように図っていくかが重要な論点となる.
本論文ではフランスの航空事故調査の法システムを取り上げ, 原因究明を行うBEA, 責任追及を行うGTA, 行政処分を行うDGACの任務・権限, 組織, 調査件数, 人員, 調査の流れ等を調査整理した. フランスの航空事故調査システムはBEAにおける専門性を確保した調査体制, GTAという航空機事故に特化した警察組織の存在, GTAとBTAとの証拠の融通, 調査の連携, 証拠や調査結果の流用などの点で特徴的である.
最後に, 日米仏の比較整理を行うことにより, 航空事故をめぐる安全確保の法システムのオプションの抽出とその選択の考え方の例を提示した.
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