国立病院機構の精神科病院9施設にある「動く重症心身障害病棟」(一般病床)には、行動障害(強度行動障害)を持つ重度・最重度精神遅滞児(者)や、身体合併症がありながらも自力で「動ける」重度精神遅滞児(者)など、いわゆる「動く重症心身障害児(者)」と呼ばれる患者が約600名入院している。今回は当センター「動く重症心身障害病棟」における長期入院患者を調査し、入院経路や患者の状態像、入院事由を分析した。結果として長期入院患者の計73%が知的障害・重症心身障害施設や精神科病院で対応困難の末当院に入院していた。また在宅からの入院患者にも当時他施設・病院に受け入れ先がなく、直接当院に入院となったケースがみられた。「動く重症心身障害病棟」は①発達年齢に応じた専門医療・療育、②情動・行動障害への精神科医療、③身体合併症に対する医療の「三つの医療」ができる場として、知的障害児(者)施設や他の精神科病院と連携し、今後も専門的役割を担っていくべきであると考える。
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