2017 年 54 巻 4 号 p. 283-288
改正障害者雇用促進法により2018年4月から精神障害者も法定雇用率算定式に加えられることになり,精神障害者雇用義務化が行われることになった.精神障害者の就労については従来の職業リハビリテーションの「保護的環境で職業訓練してから就労する(train-then-place)」方法では訓練内容が汎化せず,「早く就労の現場に出て仕事に慣れながら訓練する(place-then-train)」方法のほうが就労アウトカムを改善させるという考え方が有力となった.このような援助付き雇用プログラムの1つがindividual placement and support(IPS)である.IPSは多くのrandomized controlled trial(RCT)によって有効性が示されている.今日では,IPSに認知リハビリテーションを併用することでさらに効果を高めようとする試みが行われている.