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クエリ検索: "坂口光晴"
27件中 1-20の結果を表示しています
  • ―歩幅と歩行率の観点から―
    *太箸 俊宏, 坂口 光晴, 菅原 仁, 中川 仁, 金原 一宏
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 486
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】歩行周期において、荷重は踵に始まり足の外側を進み、中足骨頭へ移り、母趾をもって終わる。この過程で足趾は立脚相の最後まで接地している部位であり、歩行能力に対して影響を及ぼしていることが推察される。第39回日本理学療法学術大会では、足趾把持力と歩行速度に有意な相関があることについて報告した。今回さらに、足趾把持力が歩行に及ぼす影響について、歩幅、歩行率の観点から若干の知見を得たため以下に報告する。
    【方法】対象は本校学生91名(男性36名、女性55名、平均年齢19.9±2.49歳)。足趾把持力および通常歩行速度、最大歩行速度における歩幅について測定した。足趾把持力の測定は端坐位で膝関節軽度屈曲位、足関節中間位、足趾軽度背屈位とし、ベルトを用いて前足部を測定台SPR-6510(酒井社製)に固定した状態で、円筒形状握力センサSPR-6570(酒井社製)を用いて測定した。歩行速度および歩幅は、14mの歩行路において前後2mずつを助走距離とし、10m通過時間を計測するとともに、歩数から歩幅を求めた。
    【結果】足趾把持力と歩幅の相関関係について、通常歩行速度では男性において危険率5%水準で有意な相関関係が認められ、最大歩行速度では男性が危険率1%、女性が5%水準で有意な相関関係が認められた。また、男女ともに足趾把持力と歩行率との間に有意な相関はみられず、年齢による差もみられなかった。
    【考察】最大歩行速度での歩行において、足趾把持力と歩幅に相関があり、足趾把持力が強いほど歩幅が大きいこと、また、足趾把持力と歩行率に相関がみられないことから、足趾把持力は歩幅を介して最大歩行速度に影響を与えていると考えられる。また、年齢増加につれて、歩行の最大速度と通常歩行速度との間の相関が高くなり、日常生活における歩行速度はその人の最大歩行能力に制約され、また、歩行速度の低下は主として歩幅の減少に起因しているという報告がある。しかし、今回の研究では対象者の年齢層が狭く、年齢による変化は認められなかった。以上のことから、歩行速度が低下している際には、足趾把持力の強化を行うことにより歩行時の歩幅を拡大し、通常歩行速度を向上させることが可能ではないかと推察する。
    【まとめ】今回、最大歩行速度での歩行において、足趾把持力と歩幅に有意な相関関係が認められた。よって、足趾把持力は歩幅を介して歩行速度に影響を与えていることが考えられる。今後は対象の範囲を拡大し、加齢の影響も踏まえ、歩行能力の改善の一助となるよう足趾把持力が歩行に与える影響について更に追及していく。
  • *石田 弘, 渡邉 進
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 485
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
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    【目的】関節運動学的アプローチである抵抗構成運動は関節面の滑りを誘導するとされ、変形性膝関節症患者などに有用とされている。本研究では若年健常者の膝関節伸展に対し抵抗構成運動を行い、運動前後における筋電図と筋力を計測し効果の検討を行った。
    【方法】対象は健常な男性2名、女性6名、平均年齢27.8±4.4歳の両下肢とした。内側広筋、外側広筋、大腿直筋の筋活動測定にはNORAXON社製筋電計を用いた。等尺性膝関節伸展筋力の測定にはOG技研社製のGT20を用いた。テスト肢位は機器のシート上座位で、両手は体側のアームを把持、大腿部、骨盤部をベルトで固定し膝関節屈曲90°にて脛骨前面の内果上方約5cmに圧センサーを固定した。テストは自分の好きなタイミングで素早く強い膝伸展を行うように指示し、数回の練習を行った後、3秒間の最大随意収縮を行った。運動である抵抗構成運動とコントロール運動は左右下肢へ無作為に振り分けた。抵抗構成運動は上記肢位にて圧センサーを下腿近位部に固定し、コントロール運動は圧センサーを脛骨遠位部に固定して行った。どちらもモニターに表示される力2kgを目安に10秒間の膝関節伸展を10秒間の休憩を挟み20回行った。測定は、テスト、3分間の休憩、運動、再テストという流れで、右下肢、左下肢の順に行った。パラメータは筋電図が生じて力が発生するまでの電気力学的遅延、ピークフォース、力発生から運動前ピークフォースの30%に達するまでの力立ち上がり時間、運動前ピークフォースの30%を力立ち上がり時間で割った力発生率、力立ち上がり時間内の筋電図積分値を求めた。各パラメータを抵抗構成運動肢とコントロール運動肢の運動前で比較し、その後それぞれの運動前後で比較を行った。統計にはt検定を用い、有意水準を5%とした。
    【結果】運動前の抵抗構成運動肢とコントロール運動肢に有意差はなかった。抵抗構成運動前後では、ピークフォースが293.5±108Nから317.7±128.4Nと有意な増加があり、内側広筋の積分値には17.1±14.6μVから14.3±11.9μVと有意な減少があった。その他のパラメータに有意差はなかった。コントロール運動前後では、どのパラメータにも有意差はなかった。
    【考察】抵抗構成運動により副運動が促通され、大腿四頭筋の筋活動が効率よく下腿の動きを引き出す状態になったと考える。その結果、ピークフォースが増加するとともに、内側広筋の筋活動が少なくても同一の力を発生させることが可能な状態となった。しかし、等尺性筋力と力発生率に強い相関があることが対馬らによって報告されているが、本研究では、力発生率に有意差はなかった。今後、対象者を増やして再検討するとともに、変形性膝関節症患者に対し抵抗構成運動を行うことで変化するパラメータを明らかにしていく必要がある。
  • *太箸 俊宏, 坂口 光晴, 岡本 徹, 菅原 仁, 中川 仁, 金原 一宏, 杉山 善乃
    理学療法学Supplement
    2004年 2003 巻 952
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/23
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    【目的】足趾は歩行周期の推進期において、推進力を得るために足趾の屈曲による直接的な動力源として、また、間接的な力の伝達器としてハムストリングスや下腿三頭筋などの収縮力を推進力へと転換する役割を果たしていると推測した。今回、足趾屈曲力と歩行速度との関係について若干の知見を得たためここに報告する。
    【対象及び方法】対象は本校学生80名(男性30名,女性50名,平均年齢19.5±2.5歳)、足趾屈曲力及び最速歩行速度、通常歩行速度について測定した。足趾屈曲力の測定姿位は端坐位で膝関節軽度屈曲位、足関節中間位、足趾軽度背屈位とし、ベルトを用いて前足部を測定台SPR-6510(酒井社製)に固定した状態で、円筒形状握力センサSPR-6570(酒井社製)を用いて測定した。歩行速度は、14mの歩行路において前後2mずつを助走距離とし、10m通過時間を計測した。
    【結果】最速歩行速度において男女で有意差(P<0.05)が認められ、足趾屈曲力においても男女で有意差(P<0.01)が認められた。相関係数は、男性は最速歩行速度と利き足足趾屈曲力がr=0.49、非利き足足趾屈曲力がr=0.64、女性では最速歩行速度と利き足足趾屈曲力がr=0.51、非利き足足趾屈曲力がr=0.53となり、男女ともに最速歩行速度と利き足足趾屈曲力、非利き足足趾屈曲力との間にかなりの相関がみられた。また、男女ともに通常歩行速度と足趾屈曲力との間に相関は認められなかった。
    【考察】男女ともに足趾屈曲力と最速歩行速度との間に相関がみられたことは、上肢筋群、体幹筋群、下肢筋群の協調的な働きなどによって生じる推進力を、足趾が効率よく床面へと伝達し、筋出力を推進力へと転換するための重要な役割を果たしていることによると考えられる。また、通常歩行速度と足趾屈曲力との間に相関が認められなかったことから、足趾屈曲力に対して外力や推進力が強い際に影響が生じると考えられる。よって、予備能力の低下している高齢者や、廃用性による筋力低下が生じている症例に対して、歩行効率の改善を目的とした理学療法を施行する際、足趾屈曲力に対して評価及びアプローチを行うことは有用であると考えられる。
    【まとめ】歩行効率の改善を図る際、足趾屈曲力の低下している症例においては足趾屈筋群に対してもアプローチを行うことにより、より良い治療効果を得ることが期待できると考えられる。なお、今後歩行効率に影響を及ぼす足趾屈曲力以外の因子を追求し、足趾屈曲力の歩行時における重要性の裏づけを行うとともに、歩行以外の日常生活活動と足趾能力との関連についても検討していきたい。
  • ハンドヘルドダイナモメーターを用いた検討
    *畑山 聡, 加藤 宗規, 小山 理惠子, 西島 智子, 内藤 郁奈, 伊藤 公一, 海野 広美, 奥 壽郎
    理学療法学Supplement
    2004年 2003 巻 951
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ハンドヘルドダイナモメーター(以下HHD)に固定用ベルトを使用することで測定値に信頼性や互換性がえられることが明らかになってきている。一方で臨床において股外転筋は測定機会も多い筋であり、動作能力と筋力値の関係を明らかにすることは重要と考える。今回、我々は歩行能力と等尺性膝伸展筋力(以下膝伸展筋力)、等尺性股外転筋力(以下股外転筋力)の関係を明らかにする目的で以下の検討を行った。
    【方法】対象は当院外来、入院患者(整形外科疾患、内部疾患)のうち屋内監視歩行の実施が可能であり本研究に同意の得られた16名(男性1名、女性15名、平均年齢85.13 ±5.7歳)であり、以下の項目を測定した。また歩行能力に差が生じるような明らかな膝伸展、股外転筋力の左右差は見られなかった。測定項目は歩行能力と筋力の関係を明らかにするために10m至適歩行時間と膝伸展、股外転筋力の測定を実施した。膝伸展・股外転筋力の測定は、HHD(アニマ社製μTasMT1)に固定用ベルトを用いた。測定では左右各2回の測定を行い、最大値から平均値を計算し、体重比(筋力kg/体重kg以下単位省略)を算出した。また至適歩行時間と膝伸展、股外転筋力体重比の各々にピアソンの相関係数を用いて分析した。また、対象者の歩行能力(屋外自立、院内自立、院内監視)と院内の歩行様式(独歩、杖、その他)を担当療法士が聴取し、それぞれにおける膝伸展、股外転筋力体重比を分析した。
    【結果】10m至適歩行時間と膝伸展、股外転筋力体重比の相関係数は、それぞれ-0.852、-0.656であり、概ね良好な結果であった。各歩行能力の膝伸展、股外転筋力体重比は、それぞれで屋外自立0.41から0.54、0.19から0.28、院内自立0.29から0.39、0.15から0.24、院内自立以下0.16から0.30、0.92から0.17であった。院内の歩行様式では膝伸展、股外転筋力体重比それぞれで独歩0.35から0.54、0.19から0.33、杖歩行0.31から0.41、0.19から0.24、その他の歩行様式0.16から0.30、0.09から0.17であった。
    【考察】至適歩行時間と膝伸展、股外転筋力体重比の関係は、良好な負の相関を示し、股外転筋力体重比が膝伸展筋力体重比と同様に歩行能力に影響を及ぼす指標と考えられた。また歩行能力の膝伸展、股外転筋力体重比では、歩行能力が高いほど階層的な筋力値の上昇が見られることから、股外転筋力においても一定の筋力水準が歩行自立に必要であるものと思われた。一方で院内の歩行様式では歩行能力同様、歩行様式のレベルが高いほど階層的な膝伸展、股外転筋力値の上昇が見られることから、歩行様式にも股外転筋力の一定の筋力水準が必要であることが示唆された。
  • 菅原 仁, 坂口 光晴, 岡本 徹, 中川 仁, 児玉 直子, 杉山 善乃
    理学療法学Supplement
    2002年 2002.29.2 巻 118
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2018/03/06
    会議録・要旨集 フリー
  • 橋立 博幸, 潮見 泰蔵, 金子 純一朗, 今井 樹
    理学療法学Supplement
    2002年 2002.29.2 巻 117
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2018/03/06
    会議録・要旨集 フリー
  • 平林 弦大, 有馬 慶美, 郷 貴大, 杉原 敏道, 小川 恵一
    理学療法学Supplement
    2001年 2001.28.2 巻
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2018/03/06
    会議録・要旨集 フリー
  • 中川 仁, 坂口 光晴, 岡本 徹, 菅原 仁
    理学療法学Supplement
    2001年 2001.28.2 巻
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2018/03/06
    会議録・要旨集 フリー
  • 中川 仁, 坂口 光晴, 岡本 徹, 松村 剛志, 菅原 仁
    理学療法学Supplement
    2000年 2000.27.2 巻
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2018/03/06
    会議録・要旨集 フリー
  • 西嶋 力, 木村 朗, 田極 薫
    理学療法学Supplement
    2000年 2000.27.2 巻
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2018/03/06
    会議録・要旨集 フリー
  • 長田 侑希子, 網本 和
    理学療法学Supplement
    2008年 2007 巻 1128
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】メンタルプラクティスは、運動課題に対して運動するようにイメージする場合、他者の実際の運動を観察する場合などがある。立ち上がり動作の促通方法として、口頭指示や模倣などが多いが、メンタル・プラクティスについて報告されたものはほとんどない。そこで、本研究において、立ち上がり動作を行う際に、筋活動と関節角度の変化に着目して、自分自身が運動するようにイメージする場合と、他者の実際の運動を観察する場合のトレーニング方法の影響を評価した。
    【方法】1.対象:健常成人12名(男性6名)を対象とした。平均年齢は22.1歳、身長と体重の平均値は164.8cm、59.1kgであった。対象者を無作為に、運動イメージ群、観察群、対照群に分類した。また、対象者には実験の趣旨を説明し書面にて同意を得た。2.実験方法:実験は、10cm台からの立ち上がり動作を実施した。検者の合図により、立ち上がり動作をできるだけ速く3回行った。被験者の左下肢の内側広筋に表面電極を貼付した。左肩峰、大転子、膝裂隙中央、外果、第5中足骨頭にマーカーを配置し、ビデオカメラにて矢状面から記録し、体幹・膝関節角度と角速度、内側広筋の筋電図を測定した。これを試行前テストとした。その後各条件にて、介入課題を5分間行った。介入課題後、前述の立ち上がり動作を3回行った。これを試行後テストとした。3.介入課題:運動イメージ群は動作方法を録音したテープを、安静座位にて聴いた。観察群は立ち上がり動作を録画したビデオを安静座位にて見た。対照群は閉眼および安静座位にてクラシック音楽を聴いた。4.分析方法:筋活動はTRIAS Systemを、関節角度はFrame-DIASII(2次元)を用いて分析した。統計処理は、SPSS 15.0J にて分析した。各条件内での前後比較はWilcoxonの符号付き順位検定を行った。
    【結果】筋電図積分値および体幹前傾角度は3群ともに、介入前後での有意差は認められなかった。体幹前傾角速度は、運動イメージ群において介入前後で平均15.2度/秒速くなり、有意な傾向を示したが、他群では差はなかった。膝関節角速度も、運動イメージ群において介入前後で平均7.75度/秒速くなり、有意な傾向を示したが、他群では有意差はなかった。
    【考察】今回の結果から、運動イメージ群において、介入前後で体幹前傾角速度、膝伸展角速度が増加した。運動イメージ群に対して指示した内容が、体幹前傾に注意を向けた内容であったため、体幹前傾角速度が増加し、体幹前傾によって起こる反動が影響して膝伸展角速度の増加が認められたと考えられる。観察群では、言語的指示はなく動作の観察のみを行ったため、運動イメージ群のように、体幹の前傾に注意を向けられず、変化がなかったと考えられる。立ち上がり動作促通における運動イメージ法は有用であると考えられるが、明確なイメージ方法の提示が必要となる。
  • 松林 義人, 白石 成明, 坂口 光晴, 和田 美奈子, 杉村 公也
    理学療法学Supplement
    2008年 2007 巻 1127
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】回復期リハビリテーション(以下リハ)病棟入院中でうつ状態を伴った脳卒中後遺症患者に対して、身体機能、日常生活活動(以下ADL)の改善が影響を及ぼすかを検討した。
    【対象と方法】平成15年11月~平成17年7月の期間にA病院回復期リハ病棟に入院してきた脳卒中後遺症患者(認知症、高次脳機能障害、失語症、精神科受診歴のある者を除く)で、入院時のZung’s Self-Rating Depression Scale(以下SDS)により、うつ状態(SDS40点以上)とされた者のなかで,本研究に同意が得られた29例(男性:女性=10:19、平均年齢64.31±10.83歳)を対象とした。これら対象者に対して、退院時に再度SDSを評価し、入院時から退院時のSDS変化率を算出した。また身体機能の評価としてBrunnstrom’s Recovery Stage(以下BRS)を用い、ADLの評価には機能的自立度評価表(以下FIM)を用い、FIM-Motor、FIM-Cognitiveについて、それぞれ入院時から退院時の変化率を算出した。SDS変化率を目的変数に,BRS(上肢、手指、下肢)、FIM-Motor、FIM-cognitiveそれぞれの変化率を説明変数として重回帰分析(ステップワイズ法)を行い分析した。
    【結果】ステップワイズ法を用いた重回帰分析の結果、FIM-Motorが正の関与(β=0.42)を示し、偏相関係数r=0.42(p<0.05)であった。BRS、FIM-Cognitiveについては関与がみられなかった。
    【考察】脳卒中後のうつ状態はリハ進行の阻害因子になると報告されている。しかし、脳卒中後の回復期においてうつ状態が身体機能やADLの改善にどのように影響を及ぼすかの報告は一定の見解を得られていない。本研究結果より、回復期の段階で脳卒中後のうつ状態の変化とADLの運動項目との変化は、正の関与であることから、うつ状態の軽減にADLの運動項目の改善が関与することが考えられる。脳卒中後のうつ状態の発生機序として脳損傷による器質的要因と、身体機能やADL低下、社会的役割の低下等からなる反応性要因とに分けられる。器質的要因としてRobinsonらによると脳脊髄液内のセロトニンの生成または代謝異常が要因であるとし、有田はセロトニンと運動の関係について、運動の繰り返しによりセロトニンが活性化されると述べている。これらより、ADL運動項目の改善のためのリハを集中的に行うことにより、ADLの向上が患者の反応性要因の改善に影響する可能性が考えられるだけでなく,器質的要因に対しても,セロトニンの活性化を図ることができると考えられる。以上から回復期リハ病棟における積極的ADLアプローチは脳卒中後遺症患者のうつ状態の軽減に対しても有用であると考えられる。また、理学療法士をはじめとしたリハスタッフは、身体的・社会的アプローチのみならず、うつ状態に対しても積極的な心理的,身体的リハアプローチを行っていく必要性があると考える。
  • ―学力の観点から構成されるグループ学習が情意的側面に及ぼす影響―
    *中川 仁, 坂口 光晴, 菅原 仁, 金原 一宏, 太箸 俊宏
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 550
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】学習環境をデザインすることは環境に能動的に働きかける活動を通して相互作用しながら人間的諸能力を獲得する学習を効果的にする。理学療法士養成校においては臨床実習に期待を寄せるところが大きいが、学内教育における情意教育は有益な臨床実習を行なう上で重要となるため、学内での情意的側面と学習デザインという観点について鑑みた。
    【方法】本校学生46名、平均年齢20.7±2.3歳。5~6名で1グループとし、学力成績が平均になるように編成した。グループワークを1年間行なった後、グループワークの利点と欠点を情意的側面に視点を置き、自己認識調査とアンケート調査を行った。なお、自己認識度はχ2検定及びT検定、相関係数を用い、アンケート調査はK-J法を用いた。
    【結果】最も伸びたと感じた情意項目は「関係性」33%、「責任感」22%、最も伸びなかったものとして「言葉使い」54%であった。各情意項目間とグループ間で情意項目の伸びに差は認められなかったが、個人レベルでは伸びたと思われる情意項目の種類に有意差が観られた(P<0.01)。また、「積極性」が「責任感・関係性・言葉使い・感情面」と、「責任感」が「規則性・関係性・感情面」と相関を示した。アンケート調査では利点として「他人の意見により自分の意見が修正される」部分が強調され、欠点として「物理的・時間的制約や連帯責任の重圧」が挙がったが、学力的観点からの編成法に40%が肯定的であった。
    【考察】集団的教育の利点に学習過程の豊潤化による視野の拡大があるが、アンケート結果から他者の影響による自己修正が挙げられていることから学力的に平均化したグループ学習でも当てはまることが伺われるが、有意差が認められない原因として年齢差が小さいために経験や知識の制約があると考えられる。また、社会性が身に付くことも集団教育の利点であり、自己認識調査から関係性や責任感の重要性が挙げられていることからも分かるが、有意差は認められない。その理由としてグループ編成の観点が情意領域を無視した編成方法によるものと思われる。しかし、講義終了後の情意面にグループ間の差がなかったことは、実験室的空間における外部からの物理的制約が関与したものと考える。第36回から4年間にわたり理学療法学術大会において各実習の情意項目の特徴を発表してきたが、いずれにおいても中核となる情意項目の存在が認められたが、これはグループの構成人数、年齢的なもの、空間の広さによる視野の範囲、指導者との立場関係などが影響したものと考える。つまり、集団と個人の学習環境の違いではないかと推測する。
    【まとめ】成績の平均化しただけのグループ編成法では特定の情意項目の伸びは期待しにくく、あらためて臨床実習という環境説的要素が情意教育に関連深いことが示唆された。今後、臨床実習につながる情意教育のあり方が学内教育において検討される必要がある。
  • ―実習後の夜間部学生を対象とした調査研究―
    *関 裕也, 松本 直人, 隆島 研吾, 川崎 孝晃, 関 貴子, 曽根 幸喜, 畠山 美智子
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 549
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】実習指導者より、学生が求める実習指導について学校側からのフィードバックが欲しいという要請を受けることが多い。そこで今回、学生が満足する実習指導因子について、アンケート調査を実施し明らかにすることとした。
    【方法】対象は本学院理学療法学科夜間部の5期生34名。評価実習1期、2期、および臨床実習1期、2期の計4期分について、各実習終了後に実習指導に関するアンケート調査を行った。アンケートの内容は「実習指導への満足度」と、実習指導に関する質問13項目である。質問項目(以下、変数)は、当校2~4期生までの調査結果および先行文献を参考とし、指導者による指導を要素別に分類し作成した。いずれの変数も4件法にて学生側からの意見を率直に回答させた。分析手法としては、まず13個の変数について因子分析(最尤法、プロマックス回転)を行った。続いて適合度が有意となるよう変数選択(変数減少法)を行った。そして残った変数と「実習指導への満足度」の関係をモデル化したものに対し、構造方程式モデリング(最尤法)を実施した。
    【結果】有効回答数は130であり、有効回答率は95.6%であった。実習指導について2つの因子が抽出された。第1因子は「肯定的・支持的指導」であり、これを説明する変数は「学生の意志の尊重」「肯定的な学生理解」「長所を伸ばす指導」「学生の能力に合わせた指導」であった。第2因子は「積極的・成長促進的指導」であり、これを説明する変数は「積極的な指導態度」「幅広い実践理論」「短所を修正する指導」であった。また「実習指導への満足度」との相関係数は、第1因子では0.79、第2因子では0.77で、共に高い正の相関関係にあった。このモデルの適合度指標(Chi-spuare=26.5382、DF=17、p=0.0652、GFI=0.9498、CFI=0.9810、RMSEA=0.0659)は、いずれも良好な値をとった。
    【考察】臨床実習教育の手引き-第4版によると、実習生が指導者に望む要素として、1)自分のペースやレベルに合わせた課題設定、2)考えるゆとりのある実習指導、3)指導内容の明確化と正誤の判定、4)学生を受け入れる教育的な指導、を挙げている。1)と4)については「肯定的・支持的指導」を説明する変数に含まれている。2)と3)については、今回変数選択によって削除されてしまったが、いずれも学生の立場にたった指導、つまり「肯定的・支持的指導」に類似した要素であると考えられる。そして今回、新たに学生の満足度に関与する因子として「積極的・成長促進的指導」が抽出された。これより学生は、理学療法士を志す者として自分に足りないところを自覚させてくれ、成長に導いてくれる指導についても強く望んでいることが分かった。もちろん全ての学生に高い志や意欲が備わっているとは考え難いが、「積極的・成長促進的指導」を実践することにより、学生の成長に対する欲求が刺激され、満足のいく実習につながる可能性が示された。
  • *羽崎 完, 山本 典子, 藤原 俊郎, 長崎 重信
    理学療法学Supplement
    2004年 2003 巻 530
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/23
    会議録・要旨集 フリー
    【緒言】近年、我が国の理学療法士・作業療法士養成校は、めまぐるしい勢いでその数を増やしている。しかし、加速度的な少子化の進行、理学療法士・作業療法士の充足による就職難などによって、将来、閉校せざるを得なくなる養成校が出てくると予測される。そこで今回、全国で初めて閉校する養成校として、何らかの資料を残す必要があると考え、学生に対しアンケート調査を行った。この調査の目的は、将来閉校する養成校の学生に不利益が生じないよう閉校に伴う問題点・留意点を検討することである。
    【方法】対象は、平成15年3月に閉校したS学院の最後の卒業生、理学療法学科18名、作業療法学科22名、計40名とした。アンケートは無記名自記式調査法とし、集合調査で、卒業式の前日に実施した。なお、アンケートの回収は、回収箱によって行った。アンケートの内容は、閉校に伴う不安や不利益などについての質問とした。回答は、選択式で複数回答可とし、回答が複数になる場合は1位から3位まで順位をつけさせた。
    【結果と考察】38名から回答が得られた(回収率95.0%)。単純集計の結果、不安に感じたものは、「進級・卒業」が総回答数(複数回答)の22.5%でもっとも多く、じつに67.6%の学生が第1位に順位づけていた。一般的に学生は進級に対して不安を感じるものだが、閉校に伴って留年できなくなることや進級できない場合の処遇がなかなか明らかにならなかったことなどによって、かなりの多数を占めたのではないかと考える。反対に不安に感じなかったものは、「就職」が総回答数の19.3%と最も多く、次いで「入試」16.8%、「講義」「教官」15.1%であった。これは、養成校に対する求人数が例年通りであったことや、教官が講義や学生相談などにおいて、例年通りに学生と接したことで不安感が生じなかったのではないかと考える。不利益が生じたと思うものは、「学生生活」が総回答数の26.3%、「学院行事」が23.2%となった。これは、最後の学生なので通常のように後輩に引き継げず不便であったことや、学院祭などの行事の縮小や中止に強く不公平感を持っていたためではないかと考える。利益が生じたと思うものも、「学生生活」が総回答数の42.3%を占めた。これは、生活空間が広くなったことや共有物が自由に使えるようになったためではないかと考える。これらの結果から学生は閉校に伴って、進級など自分の処遇に通常以上の不安感を持ち、学院行事などが例年通り行われないことに対して、強く不公平感を持つことが明らかとなった。従って、有意義に学生生活を過ごさせるためには、進級できなかった場合の処遇をできるだけ早期に、できるだけ明確な形で提示すること、学事計画を立てる際、学生の意見を参考にすることなどが必要であり、それらによって不安感や不公平感を取り除くことが可能になると考える。
  • 自己認識による情意的側面の調査
    *中川 仁, 坂口 光晴, 岡本 徹, 菅原 仁, 金原 一宏, 杉山 善乃, 太箸 俊宏
    理学療法学Supplement
    2004年 2003 巻 529
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本校では知識の意味づけと学習意欲を培うため、各学年に個別の目標を配した実習カリキュラムを施行している。理学療法士の質の低下が危惧されている中、臨床実習に期待される部分が大きい。今回、臨床実習が学生の資質面に及ぼす影響に観点を絞り、自己評価をもとに潜在的側面について若干の知見を得たので報告する。
    【方法】本校理学療法学科4年生41名、平均年齢22.8±2.4歳に臨床実習前後で情意的側面の自己認識度を調べるとともにアンケート調査を行った。なお、自己認識度はT検定及び相関係数を用い、アンケート調査はK-J法を用いグループ化してその意味づけを試みた。
    【結果】各情意的側面の実習前後における変化は積極性(t=2.76)、規則性(t=4.15)、感情面(t=2.44)がp<0.01で、社会性(t=2.26)、関係性(t=2.12)、言葉使い(t=2.20)にはp<0.05で有意差を認めた。各情意項目間の変化率は積極性と社会的責任がp<0.01でt=2.59、積極性と規則性がp<0.05でt=2.15と違いが認められた。臨床実習後の各情意項目間では社会的責任と規則性はr=0.41、関係性と言葉使いはr=0.41、関係性と感情面はr=0.54と相関が見られた。他の情意項目間すべてに弱いながら相関を認めた。自由記述式のアンケートでは実習全体を通して消化不良と答えた学生が半数以上あった。【考察】昨今の教育の流れは潜在的側面に比重が置かれる傾向があり、チームティーチングなどのインフォーマルな教育手法が実験段階に入っている。理学療法士も新人教育プログラムにより資質の潜在的側面の教育カリキュラムが設けられている。現在の臨床実習の位置づけは基礎知識と症例の統合であるが、今回のアンケート結果から前職業訓練的内容の臨床実習であったことは否定できないものであった。また、学生個人の内面的性質の未熟性から臨床実習の消化不良現象が伺われた。加えて、最終学年であるにもかかわらず資質に関する評価の指摘も多かった。実習前後で社会的責任のみ低下が見られた理由として時間が足りない、余裕がない、自信がないなどが原因とされた。つまり、フィードバックによる行動の修正が行い難い状況にあったことから内的要因と時間的要因が実習成果に関係する因子として上がった。なお、第36回から第38回理学療法学術大会において各実習の情意項目の特徴を発表してきたが、いずれにおいても中核となる情意項目の存在が認められたが、今回のように程度の差こそあれすべての情意項目間に相関は見られなかった。これにより臨床実習の持つ潜在的側面の重要性が示唆された。
    【まとめ】臨床実習の持つ潜在的側面は資質の基盤を育成する機能を持つことが明確となった。よって臨床実習指導者は資質に期する情意的側面の相互補完性を考慮した指導方法論が期待される。今後、臨床実習指導者の資質との比較検討から学生の自己評価の妥当性について概観する必要性を感じた。
  • 中川 仁, 坂口 光晴, 岡本 徹, 菅原 仁, 児玉 直子, 杉山 善乃
    理学療法学Supplement
    2002年 2002.29.2 巻 666
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2018/03/06
    会議録・要旨集 フリー
  • 工藤 俊輔, 大澤 諭樹彦, 上村 佐知子, 佐竹 將宏, 若山 佐一, 進藤 伸一, 籾山 日出樹, 塩谷 隆信, 稲場 斉
    理学療法学Supplement
    2002年 2002.29.2 巻 665
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2018/03/06
    会議録・要旨集 フリー
  • 吉澤 隆志, 藤沢 しげ子
    理学療法科学
    2008年 23 巻 3 号 459-462
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,学業成績と勉強時間や医療関係の職種のアルバイト経験の有無との関係を調べるものである。〔対象〕当学院理学療法学科昼間コース学生41名および夜間コース学生40名とする。〔方法〕質問紙法にて実施した勉強時間等に関するアンケート結果と,定期試験成績との比較検討を行った。〔結果〕昼間コース学生においては医療関係の職種のアルバイト経験の有無,夜間コース学生においては試験前の週の勉強時間が学業成績に好影響を及ぼすことが示唆された。〔結語〕今後の学生指導として,昼間・夜間コース学生において,各コースの特色を考慮した上で対応を行っていく必要があると考える。
  • ─質的内容分析と数量化III類による探索的構造分析─
    池田 耕二, 玉木 彰, 吉田 正樹
    理学療法科学
    2010年 25 巻 6 号 881-888
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,理学療法臨床実習期間における実習生の意識変容過程を明らかにすることにある。〔対象〕対象者は,臨床実習が行われた実習生13名(男8名,女5名,平均年齢23.6±3.8歳)とした。〔方法〕実習日誌の感想文の内容を知識・感情・意欲の3つの視点から作成したカテゴリーを用いて数量化し,それらを実習の前・中・後期において比較した。さらに数量化III類を用いて実習生の意識構造を図示化し,それを用いて実習生の意識変容過程を分析した。〔結果〕数量化による内容の比較では,実習期間を通して理学療法実践,高喚起,内向的意欲カテゴリーが多い傾向を示した。また数量化III類による意識構造の図示化では,実習生の意識構造は知識・感情の軸と冷静な実習・躍動的な実習の軸によって構成されていることが明らかとなり,さらに実習生の意識変容過程の分析では意識変容過程は「感情優位」,「知識優位」,「専門・統合優位」,「意欲優位」,「冷静優位」,「躍動優位」,「混合」の7つのタイプに分類できることが明らかとなった。〔結論〕本研究は,実習期間を通して実習生は意識の中で理学療法実践を多く学びながら緊張や焦りを多く感じ思考的な意欲を心がける傾向にあること,実習生の意識構造は知識・感情や冷静な実習・躍動的な実習という軸によって構成されていること,そして実習生の意識変容過程には7つのタイプがあることを示唆した。
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