理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 486
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理学療法基礎系
足趾把持力が歩行に及ぼす影響
―歩幅と歩行率の観点から―
*太箸 俊宏坂口 光晴菅原 仁中川 仁金原 一宏
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キーワード: 足趾把持力, 歩幅, 歩行速度
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抄録
【目的】歩行周期において、荷重は踵に始まり足の外側を進み、中足骨頭へ移り、母趾をもって終わる。この過程で足趾は立脚相の最後まで接地している部位であり、歩行能力に対して影響を及ぼしていることが推察される。第39回日本理学療法学術大会では、足趾把持力と歩行速度に有意な相関があることについて報告した。今回さらに、足趾把持力が歩行に及ぼす影響について、歩幅、歩行率の観点から若干の知見を得たため以下に報告する。
【方法】対象は本校学生91名(男性36名、女性55名、平均年齢19.9±2.49歳)。足趾把持力および通常歩行速度、最大歩行速度における歩幅について測定した。足趾把持力の測定は端坐位で膝関節軽度屈曲位、足関節中間位、足趾軽度背屈位とし、ベルトを用いて前足部を測定台SPR-6510(酒井社製)に固定した状態で、円筒形状握力センサSPR-6570(酒井社製)を用いて測定した。歩行速度および歩幅は、14mの歩行路において前後2mずつを助走距離とし、10m通過時間を計測するとともに、歩数から歩幅を求めた。
【結果】足趾把持力と歩幅の相関関係について、通常歩行速度では男性において危険率5%水準で有意な相関関係が認められ、最大歩行速度では男性が危険率1%、女性が5%水準で有意な相関関係が認められた。また、男女ともに足趾把持力と歩行率との間に有意な相関はみられず、年齢による差もみられなかった。
【考察】最大歩行速度での歩行において、足趾把持力と歩幅に相関があり、足趾把持力が強いほど歩幅が大きいこと、また、足趾把持力と歩行率に相関がみられないことから、足趾把持力は歩幅を介して最大歩行速度に影響を与えていると考えられる。また、年齢増加につれて、歩行の最大速度と通常歩行速度との間の相関が高くなり、日常生活における歩行速度はその人の最大歩行能力に制約され、また、歩行速度の低下は主として歩幅の減少に起因しているという報告がある。しかし、今回の研究では対象者の年齢層が狭く、年齢による変化は認められなかった。以上のことから、歩行速度が低下している際には、足趾把持力の強化を行うことにより歩行時の歩幅を拡大し、通常歩行速度を向上させることが可能ではないかと推察する。
【まとめ】今回、最大歩行速度での歩行において、足趾把持力と歩幅に有意な相関関係が認められた。よって、足趾把持力は歩幅を介して歩行速度に影響を与えていることが考えられる。今後は対象の範囲を拡大し、加齢の影響も踏まえ、歩行能力の改善の一助となるよう足趾把持力が歩行に与える影響について更に追及していく。
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© 2005 日本理学療法士協会
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