米酢の二次沈澱物について,主に組成分析を行い,その結果に基づいて二次沈澱発生様式を推察し,その防止法の検討を行った.
(1) 米酢の二次沈澱物の主成分は蛋白質であった.この沈澱物からクロロホルムーメタノ―ル混液により,約37%の褐変成分が抽出された.その二次沈澱物のアミノ酸組成は,米酢の原料として使用した米の蛋白質特有のパターンと使用した酵素に特有のパターンの中間的なアミノ酸パターンを示したことから,二次沈澱物が単に米に由来するだけでなく酵素蛋白も関与しているものと推定された.
(2) 沈澱防止方法として多糖類,合成高分子,吸着剤及び蛋白凝集剤を検討したところ,キサンタンガム,CMC,ポリアクリル酸ソーダ及び80℃でのベントナイト処理にその効果がみられた.一方,分画分子量13000の濾過膜を使用した限外濾過装置で濾過した米酢の場合も二次沈澱の発生は防止された.
(3) キサンタンガム, CMC,ポリアクリル酸ソーダは米酢に溶解するので,添加すれば米酢中に残存することになるが,ベントナイトの使用に関しては米酢にはほとんど溶解しないので米酢中への残留は無視できる.また,この点に関し限外濾過法も有効である.従って,限外濾過法か80℃でのベントナイト処理法が米酢の二次沈澱防止の最も有効な方法であることが分かった.
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