農村地帯で都市化の進行が著しいといわれているが, これは宅地の増加と農地の減少を意味し, また必然的に地域の人口増加を伴い, 農民の比率を低下させる。したがって, 新住民の増加によって少数派となってゆく農民と, 彼らが維持してきた用水路も新たな対応を迫られてくる。本稿では神奈川県足柄平野の土地改良区を例とし, 運営状況, 加入農家の実態を概観し, 農村の変容の一端を明らかにした。そして農地の減少に伴い, 水利施設の更新期に, 改良区の存立が危ぶまれる時期が訪れると指適した。
なお, 本稿は, 平成元年度学会大会講演会で一部を発表し, それに補訂をしたものである。
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