大阪歯科大学附属病院
の医療従事者の鼻腔から分離された75株のメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)の病原性および酵素産生性によるtype分けについて検討し, 1993年に病院環境から分離されたMRCNSの酵素産生性とtypeを比較した.
Lecithinaseおよび lipaseを産生した株は, 75株中21株(28%), β-lactamaseを産生した株は, 10株(13%)であった. 一方, DNase, hyaluronidase, chondroitin sulfatase, collagenase, trypsinおよび chymotrypsinはいずれの菌株も産生しなかった. また, 簡易同定キットにより75菌株を同定した結果, 70株(94%)が,
Staphlococcus epidermidis (
S. epidermidis)であり, 3株がそれぞれ,
Staphlococcus gallinarum (
S. gallinarum),
Staphlococcus lentus (
S. lentus)および
Staphylococcus warneri (
S. warneri)と同定された. 残りの2株は同定することができなかった. また, 最も多く分離された
S. epidermidis を β-lactamase, lecithinase および lipase産生性によりtype分けしたところ, いずれの酵素も産生していない typeが最も多く, 44株を占め, ついで, β-lactamase (-), lecithinase (+), lipase (+)の typeが15株を占め, その他に4 typeが認められた.
以上の結果から, 医療従事者の鼻腔から分離された MRCNSは, 1993年に病院環境から分離された MRCNSと異なり酵素産生性の面で病原性は低く, β-lactamase, lecithinase および lipaseの産生性から多くのtypeに分かれることが示唆される.
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