【目的】郊外住
宅地
は,高度経済成長期に開発が開始され,人口拡大につれ地価高騰の影響により都心から遠く離れた遠隔地にまで無秩序に住
宅地
が建設されていった.開発から約30年が経過し,とりわけこのような遠隔郊外住
宅地
では,今後親世代の高齢化と子世代の就職や結婚,転勤などによる流出により人口の減少が進行することが予測される.さらに日常生活にかかわる問題からひいては居住の継承の問題,コミュニティの不活性化等種々の問題が顕在化してくると考えられる.本報では親子の居住形態に着目し,その動向を明らかにし,この面から遠隔郊外住
宅地
の抱える問題点を明らかにすることを目的とする.【方法】奈良県内の遠隔郊外住
宅地
の中から,昭和50年代を中心に開発され団塊世代人口比率および高齢化率,空地・空家率の高い住
宅地
として榛原町に存在する住
宅地
を選定し,その居住者を対象に質問紙調査を実施した.有効サンプル数は世帯票349,個人票718である.【結果】居住者は,借家から対象住
宅地
に転入し初めて住宅を取得した「一次取得者層」が半数を超える.中古住宅の占める割合が2割に満たないこと,住
宅地
内の空地や空家がそれぞれ約1割と多く存在することから住
宅地
として停滞している状況が把握できる.「65歳以上の高齢者がいる」家族は4割弱を占める.また単身の6.5割,夫婦のみの半数が高齢世帯であり,居住者の高齢化はかなり進展している.世代同居家族は全体の1割にすぎない.既婚子との居住形態をみると,同居が2割,別居が8割と別居が多くを占める.また別居の場合の時間距離をみると,「徒歩5分以内」は1割未満,「車で30分以上」が7割を占め「遠居」が特徴である.住
宅地
内には坂が多く,駅から遠く,買い物等の移動には車に頼った生活が中心であり,高齢期への不安が強い.今後,将来にわたって居住地として種々の問題をはらんでいることを明らかにした.
抄録全体を表示