12歳男児チック症例の箱庭療法による治療過程を報告した。家庭で口やかましい母と姉妹に干渉されて育ってきた患児は, 神経質で失敗を気にすることが多かった。級友とのトラブルをきっかけに, 11歳頃より首を素早く左に傾ける運動性チックが出現し, 2カ月後, 治療のため来院した。6カ月にわたる箱庭療法は, 患児が感情の統制と他者との協調を学び, 家族間葛藤を克服するのに役立った。同時に社会生活においても, 級友など他者と自分との関係の持ち方や距離の取り方が改善され, チック症状が消失した。
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