本研究では,東京都市圏および
宇都宮都市圏
において保育所を利用している共働き世帯を対象に,立地パターン別の1日の世帯の時空間制約と実行動を明らかにした.手法としては,東京・
宇都宮都市圏
における保育所送迎に関連する立地や交通行動等に関するアンケート調査を用い,時空間プリズム・パス理論に基づき保育所送迎の実行可能性を推定した.さらに都市圏・立地パターン別に保育所送迎の実行可能性,実際の送迎担当者,送迎に対する意識を分析し,都市圏や立地パターンの違いによる相似点や相違点について明らかにした.その結果,立地パターンは東京都市圏,
宇都宮都市圏
ともに5つの代表的なものに集約され,妻が送迎をする前提で立地が決まり,妻が保育所送迎できる範囲で,勤務時間を調整(短縮)していることが示唆された.また同じような立地パターン・時空間制約でも,
宇都宮都市圏
では東京都市圏に比べ,夫の送迎分担が多い傾向にあることがわかった.今後の課題としては,送迎実行可能性と実際の送迎分担が必ずしも一致していない理由の探索や,望ましい1日の時間の使い方,ワークライフバランスの改善に資する政策立案と評価が挙げられる.
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