箕面市歯科医師会では, 箕面市の訪問看護事業の一貫として平成2年度より在宅歯科診療事業を開始, 延べ364人の依頼者があった。スタート時は, 年間15人であった依頼者もここ数年では50人前後を数えるまでに至った。毎年, 75歳から85歳までの依頼が多いが90歳以上の依頼も増加しつつある。また, 有病患者, 寝たきりの患者によっては治療が困難を窮め, そのために再度依頼する患者も多く数え, 依頼件数の半数が再度依頼のあった年もみられた。
在宅歯科診療事業では, 患者に早期に治療が施せるよう考案した箕面方式を実施してきた。これは, 依頼者から行政の担当部に在宅歯科診療依頼の申し込みがあると, ただちに在宅委員会委員長に連絡が人り, かかりつけ歯科医の有無依頼者の希望, 地域などの点から考慮して, 在宅歯科診療登録医の中から担当医を選定する。担当登録医は, 家庭訪問調査を行い, 診療が可能な場合そのまま診療に入る。その結果依頼申し込みから家庭訪問調査までの期間, 調査から診療開始までの期間, さらには依頼から診療開始までの平均日数はそれぞれ5.1日, 3.2日, 8.3日であった。
今後も, 迅速に在宅歯科診療に対応するとともに, より安全に寝たきり菖齢者の治療に従事できる環境の整備と口腔衛生の向上に務める必要があると考える。
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