下水処理水が放流され,表流水の出入がなく,自然状態に近い水路である玉川上水で,窒素安定同位体自然存在比(δ
15N値)と可溶性塩類濃度を測定し,流下に伴う変化から自浄作用の評価を試みた。10時間の流下過程で,NH
4+とNO
2-の濃度は減少し,NO
3-の濃度は増大した。一方,総無機態窒素の負荷量の減少,NO3
-Nと総無機態窒素のδ
15N値の増大,アルカリ度(HCO
3-)の増大がみられたことから,硝化と脱窒の両者が起こっていることが示唆された。δ
15N値は,物質の濃度(負荷量)の変化に加えて,河川の自浄作用を直接評価する有効な手段と考えられる。
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